第4回フォーラムプログラム

「21世紀日本精神保健の抜本的改革に向けての提言」

2002年8月25日
精神保健従事者団体懇談会

  1. メンタルヘルスの危機の時代への対応
     現在、日本は世界各国と同様、急激な社会変化の中で深刻なメンタルヘルスの危機の時代に突入している。この克服に向けて、二つの真摯な取り組みが必要である。
    (1)学校や企業や地域社会および家庭などで、人間性を尊重しあえるあり方を模索する
    (2)誰もが安心して利用できるように、質の高い精神保健・医療・福祉の包括的システムを作る。克服への中心理念は、「パートナーシップ」(連帯)である。
  2. 精神科医療の抜本的改革
     この改革には、ノーマライゼーション理念に基づく次のプランの実現が必要である。
    (1)できるだけ速やかに現行の精神科病床数約36万床のうち1/3の病床を減らし、「社会的入院」を解消する。同時にマンパワーや医療費などにおける他科との格差を解消し、医療の質を高める。また、ニードの充分に対応し切れていない領域については、公的な責任でより高度な医療の充実を図る。そのために年次計画を策定する。
    (2)精神科医療も他科と同様に、1次・2次・3次の医療圏を整備し、2次医療圏を中心に救急・合併症対策を軸にして、地域住民のニードに応えていく。
    (3)精神障害者の人権を擁護するために、オンブズマン制度の導入、精神病院の寿尾法公開等、実効性のあるシステムを確立する。さらに、これらの延長上に、精神保健福祉法の抜本的改正が求められる。
  3. 多様な福祉の充実
     障害者基本法のもと、精神障害者福祉施策は他障害と同等に量的に充実されるだけでなく、精神障害者の主体性重視という質的転換を必要とする。このために国および地方自治体は強い意志を持ち、マンパワーの充足と市民との連帯を実現する。
    (1)すべての精神障害者の社会参加を可能とするために、多様な社会サービスに基づく生活権が保障されなくてはならない。特に、現在の貧困な住居施策の抜本的改善、総合的な雇用施策、権利としての所得保障を実現する。
    (2)上の課題は、医療圏と連動した保健福祉圏域の実施により、具体的な数値目標をもって計画されなければならない。また、諸サービスが活用されるために、市民を含めた福祉的支援ネットワークを確立させ、そのための総合的・包括的なケアマネジメントを機能させなければならない。
     付記
     なお、日本でのこうした精神保健改革の実現を促進し、さらには必要に応じて世界各国の改革の促進にも資するべく、国際的な専門家による相互点検と相互助言のためのワーキングチームをつくることが重要である。