第1回フォーラムプログラム

確 認

精神衛生法をめぐる精神医療従事者団体懇談会

  1. 日本の精神医療の現状を抜本的に改善するためには、精神障害に対する差別の廃絶をめざし、入院患者の人権を保障するとともに、いわゆる「精神障害者」が社会で基本的自由を侵害されずに生きていくための生存権を保障することが必要である。このためには、精神保健をめぐる法ならびに諸施策の抜本的転換が急務であるとともに、それの裏付けとしての財源的保障が不可欠であると考える。
  2. 上記の視点から、われわれは、「精神衛生法改正国際フォーラム」(京都、1887年1月30日)で決議された5原則*を 、最低必要なものとして確認する。
  3. 当面の「改正」にあたっては、上記5原則の完全実現が必要であるが、とくに日本の現状に照らして、以下のものは欠かすことができないと考える。
    (1)入院患者の通信・面会の自由を保障する。
    (2)「精神障害者」の“訴える権利”を保障し、公正な第三者機関を設置する。
    (3)「精神障害者」が適正な医療を受ける権利を保障する。
    (4)「精神障害者」が地域社会で生きてゆくための体制を拡充する。
  4. 今後、精神障害のあり方が根底的に変わってゆかなければならない時代にあたり、精神保健医療に従事する諸団体は、「精神障害者」の利益を中心課題として、充分に協議・  協力してゆく。 以上確認する。

1987年2月14日

全日本自治団体労働組合    全国自治体病院協議会
全国精神衛生センター長会      全国精神衛生相談員会
日本医療社会事業協会      日本集団精神療法学会
日本精神医学ソーシャルワーカー協会  日本精神科看護技術協会
日本精神神経学会         日本てんかん協会
日本臨床心理学会         病院・地域精神医学会

*5原則とは、以下のものである。

  1. 精神障害者(mentally ill persons)は、人道的で、人間としての尊厳を重視し、かつ専門的な治療をうけるべきである。
  2. 精神障害者は、その精神障害を理由に差別されてはならない。
  3. 入院治療が必要な場合は、常に自発的入院が奨励されるべきである。
  4. 非自発的入院患者が引き続き入院治療を必要とするか否かを決定するために、入院から適当な期間内に、独立したトライビューナルにおいて、公正かつ非形式的な聴聞(an impartial and informal hearing before an independent tribunal)が行われるべきである。
  5. 入院患者は、可能な限り自由を享受し、他の人々と自由にコミュニケートできるようにすべきである。



第1回フォーラム プログラム

開会の挨拶                                            道下 忠蔵

Ⅰ 精神保健法をどうみるか

司会:富井通雄・森山公夫

ⅰ 「精神保健法をどうみるか」                                田原 明夫
ⅱ 「精神保健法をどうみるか」                                土門  誠
ⅲ 「精神保健法をどうみるか」                                大津 正典
ⅳ 「精神保健法をどうみるか」                                西沢 利明
ⅴ 「医療保護入院をめぐって」                                阪本 健二
ⅵ 「精神保健法について」                                  貝谷  伸
ⅶ 質疑・討論1

Ⅱ 人権の差別を中心とする諸問題

司会:広田伊蘇夫・佐藤和喜雄

ⅰ 「精神医療と人権について」                               里見 和夫
ⅱ 「私達は当事者として精神保健法の撤廃を要求する」                山本 真理
ⅲ 「精神保健法ができて」(誌上参加)                           横式多美子
ⅳ 「人間らしく生きる権利」                                  春島 伸一
ⅴ 「岡山の精神障害者差別条項撤廃の運動」                      藤田 健三
ⅵ 「てんかんの立場からの提起」                              松友  了
ⅶ 質疑・討論2

Ⅲ 保健・医療・福祉の新しい方向を目指して

司会:加藤伸勝・工藤義雄

ⅰ 「日本医師会として」                                    若狭勝太郎
ⅱ 「行政の立場から」                                     矢内 純吉
ⅲ 「地域医療計画~その問題点と今後の課題~」                    朝日 俊弘
ⅳ 「日本の精神医療の最近のデータから」                        中山宏太郎
ⅴ 質疑・討論3

Ⅳ それぞれの職種から

司会:佐藤年秀・大塚信行

ⅰ 「精神医療活動の新しい方向をめざして」                       浅井 邦彦
ⅱ 「看護者の立場から」                                   持丸 昌久
ⅲ 「臨床心理士の立場から」                                赤松 晶子
ⅳ 「地域精神保健活動のこれからをめざして」                      三代 浩肆
ⅴ 「精神医療と医療ソーシャルワーカー」                         平泉 順子
ⅵ 「これからの地域精神医療・福祉について」                      矢谷 令子
ⅶ 質疑・討論4

Ⅴ それぞれの地域・病院から

司会:樋田精一・浜本哲

ⅰ 「あおぞら作業所の報告」                                押田 房子
ⅱ 「「社会復帰幻想」をもたらず良心的精神医療粉砕」              ごかいグループ
ⅲ 「広げよう 命の輪」                       神奈川県精神障害者連絡協議会
ⅳ 「「ルナの会」よりのアピール」                 石川県「ルナの会」よりのアピール
ⅴ 「何のための精神衛生法改正か」                        大阪・新希望の会
ⅵ 「地域を共生の場に」                                   藤井 達也
ⅶ 「私的病院の試みと今後の課題」                            小林 一之
ⅷ 「暗く長いトンネル」                                    生村 吾郎
ⅸ 「大阪地域精神医療を考える会・10年の歩み」                    稲垣 俊雄
ⅹ 質疑・討論5

Ⅵ 総括討論

司会:道下忠蔵・中山宏太郎・高橋一