第2回フォーラムプログラム

確 認

 国内フォーラムに参加したわたしたち「精神衛生法をめぐる精神医療従事者団体懇談会」のメンバーは、精神保健法の成立(1987.9)を機に、あらためて1987年2月の「確認をふまえ、精神保健法の抜本改正をめざす。

ここでわたしたちは当面次の4点を緊急課題とする。

  1. 患者の人権を尊重し、各職種間の協力関係および市民との連携を密にし、自発的入院・開放化、地域での医療及び援助を促進する。
  2. 精神保健・医療・福祉における各種スタッフを充実させるとともに、病院における職員配置基準(医師・看護婦)については、一般病院と同等となるよう、改善を図ること。さらに、現在貧困をきわめている精神保健・医療・福祉に対する積極的財源保障を求める。
  3. 精神障害者に対する法および条例等における差別条項の撤廃を求める。
  4. 地域・都道府県における精神保健・医療・福祉の改善プログラムを検討し、その実現をめざす。

 なお、わたしたちは、今回の国内フォーラムの確認にもとづき、各地で活発な活動をおこない、2年後をめどに精神保健法改正にむけての第2回国内フォーラムを開催する。

1988年2月13日

国内フォーラム「精神医療の抜本的改革にむけて」(京都)
代表世話人
道下 忠蔵
柏木  昭(代理 高橋 一)
中山宏太郎

 

確 認

 われわれは、第1回国内フォーラムにおける四点の確認をひきつぎ、それをさらに一歩前進させるため、今回改めて以下の五点を確認する。その確認にもとづき、われわれは今後さらに精神医療改革を推進する。

  1. 精神保健法の構成(目的)は、主として①人権憲章的側面、②福祉法的側面、③医療法的側面、④強制入院法的側面、⑤社会統制的(措置入院)側面、の五つよりなる。
     今回の見直しに当たってはまず人権憲章的理念を高くかかえ、国連の「諸原則」案に照らして、すくなくとも人権に関する国際水準は確保しなくてはならない。つぎに福祉に関しては、他の障害者に対する福祉よりいちじるしく遅れている現状を打破し、市町村の取り組みを積極的に進めるとともに、従来の「医療内福祉」の壁を取り払って抜本的レベルアップをはからなくてはならない。
     一方、医療面でも、他科医療に比しいちじるしい劣悪な現状にかんがみ、従来の隔離・収容的考えを一掃して、最低限他科なみの医療水準を保障し、本人が安心してうけられる医療にしていかなくてはならない。そして最後に、医療保護入院・措置入院などのやむをえざる強制入院に際しても、国際水準に照らして、あくまでもそれが「治療」を目的とすることを明確にし、その要件を厳密に規定するとともに、人権保障のためのさまざまな方策がとられなくてはならない。
  2. この法の対象者の範囲は、上記五つの理念にもとづき、それぞれ異なる。
     したがって「精神障害者」の定義(概念)はそれぞれの局面により、規定を変えるべきである。①ではもっとも広く、②と③はそれぞれ背中合わせの規定となり、④、⑤は、③の規定内でさらに厳密に規定されるべきである。
     次に、被強制入院者の人権保障のため、可能な行動制限の内容を厳密に規定すること、任意入院者に対する開放処遇の原則を明記すること、さらに精神医療審査会がより有効に機能するべく、第三者性を高め、その人権保障にかかわる権限を高めるべきである。
     また、「社会復帰施設」については、国ないし地方自治体に設置義務を負わせるとともに、施設設置当事者に対する費用の「1/4負担」をとりのぞくべきである。
     さらに、「保護義務者制度」については、すでに家制度は日本においても崩壊している現状に照らして本来は抜本的に見直されるべきと考えるが、当面は、精神保健法上は強制入院に関して本人の権利を代弁する人間として位置づけ、妥当な家族が居ない場合には他に適当な代理人を充てることも勘案しながら、制定源監督義務規定は削除すべきであると考える。
     最後に、施設外収容禁止規定の削除と、大都市特例の適正な施行は当然行われるべきである。
  3. 従来、精神医療の名のもとに精神障害者に対する隔離収容がなされてきた。精神医療の費用とマンパワーは、隔離収容のためのものであり、また、当然、福祉分野においてもまったく不十分であった。いま、開放化と地域医療という視点から、人権保障をふまえた治療の場として精神医療(精神病院)を再生させるためには、その施設基準を厳密に規定しながら、適正な医療を保障する費用とマンパワーを質量ともに抜本的に拡大すべきである。とりわけ、拘束の場としての閉鎖病棟の場合には、国家の責任においてこれをなすべきである。福祉分野についても、全く同様に、費用とマンパワーの拡大がなされなくてはならない。
  4. わが国で、真に地域保健医療・福祉が根づきうるためには、まず精神医療が他科なみに、医療法における一次、二次、三次医療圏において位置づけられること、さらに第二次医療圏を中心に、地域における各病院・診療所・保健所・福祉事務所・作業所その他社会復帰施設などがそれぞれ孤立して存在するのではなく、自らの体質改善をはかりつつ、有機的なネットワークを形成してゆかなければならない。その上で、各地方自治体に働きかけ、さまざまな施策を講じるよう促す必要があり。
  5. いわゆる「処遇困難例」の専門病棟問題については、きびしく議論の分かれるところであるが、少なくとも次の四点では一致することを確認し、今後継続してさらに討論を深めていきたい。
    ①われわれは、保安処分の反対するという立場を堅持し、「処遇困難例」問題の解決は、保安処分としてではなく、あくまでも治療の問題としてとらえる。②「処遇困難例」という概念には、重い犯罪に関連した精神障害者群と、精神病院などでいわゆる保護室長期使用を必要としている患者群という二つの概念が混在しているが、いずれにしても質の高い医療を保障するという視点からとりくまねばならない。③それゆえ、「処遇困難例」という概念自体があいまいであり、弁密な使用に耐えないものである。安易に治療ルートにのりえないという意味で「重症例」などの言葉が妥当であろう。また、こうした混乱を防ぐ意味でも、精神障害者の定義の見直しが必要であり、すくなくとも強制入院の大正から、「精神病質社」と「精神薄弱者」をはずし、「同意能力を欠く精神病状態」にその大正を限定することも検討する必要がある。④いづれにせよ、こうした問題を解決するために、質の高いチーム医療が必要であるが、それは人権擁護の観点を堅持するものでなければならず、他の施策に比べて決して突出するようなものであってはならない。3)で指摘されたような全体の精神医療のレベルアップが絶対的に必要であり、それと共に一次、二次、三次医療圏内部の機能分化の一環としてきちんと位置づけられねばならず、さらに福祉分野の充実という視点も同様に必要である。 患者の人権を尊重し、各職種間の協力関係および市民との連携を密にし、自発的入   院・開放化、地域での医療及び援助を促進する。
  6. 精神保健・医療・福祉における各種スタッフを充実させるとともに、病院における職員配置基準(医師・看護婦)については、一般病院と同等となるよう、改善を図ること。さらに、現在貧困をきわめている精神保健・医療・福祉に対する積極的財源保障を求める。
  7. 精神障害者に対する法および条例等における差別条項の撤廃を求める。
  8. 地域・都道府県における精神保健・医療・福祉の改善プログラムを検討し、その実現をめざす。

     1991年11月3日
    第2回精神保健国内フォーラム
    代表世話人    道下 忠蔵
    柏木  昭
    森山 公夫

 

「精神保健法見直しの要望」

1991年11月12日

第2回精神保健国内フォーラム
代表世話人
森山 公夫(日本精神神経学会副理事長)
道下 忠蔵(全国自治体病院協議会精神病院特別部会長)
柏木  昭(日本精神医学ソーシャルワーカー協会会長)

 

 わたしたち精神保健従事者は、去る11月2・3の両日、千葉の幕張で「第2回精神保健国内フォーラム」を開き、概略以下のようなことを確認いたしました。
「今回の見直しに当たってはまず人権憲章的理念を高くかかえ、国連の「諸原則」案に照らして、すくなくとも人権に関する国際水準は確保しなくてはならない。つぎに福祉に関しては、他の障害者に対する福祉よりいちじるしく遅れている現状を打破し、市町村の取り組みを積極的に進めるとともに、従来の「医療内福祉」の壁を取り払って抜本的レベルアップをはからなくてはならない。
 一方、医療面でも、他科医療に比しいちじるしい劣悪な現状にかんがみ、従来の隔離・収容的考えを一掃して、最低限他科なみの医療水準を保障し、本人が安心してうけられる医療にしていかなくてはならない。そして最後に、医療保護入院・措置入院などのやむをえざる強制入院に際しても、国際水準に照らして、あくまでもそれが「治療」を目的とすることを明確にし、その要件を厳密に規定するとともに、人権保障のためのさまざまな方策がとられなくてはならない。」
 こうした理念のもとにわたしたちは、あらためて精神保健・医療・福祉の抜本的改善に努めてゆきたいと考えております。
 以上の趣旨をお汲みとりいただき、今後の精神保健法見直しにあたってはよろしくおとりはからいいただけますよう、お願い致します。

(主催)
日本精神神経学会 日本精神病院協会 WFMH1993世界会議組織委員会 
共同作業所全国連絡会 自治労衛生医療評議会 全国自治体病院協議会 
全国精神保健センター長会 全国精神障害者釈迦復帰施設協議会 
全国精神保健相談員会日本医療社会事業協会 日本作業療法士協会 
日本集団精神療法学会 日本精神医学ソーシャルワーカー協会 
日本精神科看護技術協会 日本精神神経科診療所医会 日本てんかん協会 
日本総合病院精神医学会 日本臨床心理学会 病院・地域精神医学会 
(顧問)
島薗 安雄(WFMH1993世界会議組織委員長)
河﨑  茂(日本精神病院協会会長)
笠原  嘉(日本精神神経学会理事長)
藤縄  昭(国立精神・神経センター精神保健研究所長)

 

第2回フォーラム プログラム

開会の挨拶                                            藤縄  昭 
基調報告                                             森山 公夫

Ⅰ 精神保健・医療・福祉の改革に向けて

司会:新保祐元・藤野邦夫

ⅰ 「医療の立場から」                                     広田伊蘇夫
ⅱ 「看護の立場から」                                     桜庭  繁
ⅲ 「地域精神保健活動を展望して」                            三代 浩肆
ⅳ 「福祉の立場から」                                     谷中 輝雄

指定討論                                         山本深雪・外口玉子
質疑・討論1

Ⅱ 精神保健法の評価の見直し-人権擁護と社会復帰-

司会:平泉順子・田原明夫

A 入院者の人権擁護のために
ⅰ 「入院処遇と行動制限」                                  村上  優
ⅱ 「精神医療審査会の課題」                                小池 清廉
ⅲ 「精神医療の現実と法改正の問題」                           永野貫太郎
質疑・討論

B 社会復帰・社会参加のために-福祉の視点からみた精神保健法・精神医療
障害者規定と他障害者との対比から福祉状況を見る-
ⅰ 「精神障害者福祉を問い返して」                            神 マチ
ⅱ 「他障害者との対比から福祉状況を見る」                      牧野田恵美子
ⅲ 「社会復帰の現状」                                    藤本 豊
ⅳ 「障害者の社会復帰と社会参加」                           富岡 詔子
質疑・討論

C 保護義務者制度について
ⅰ 「制度上の問題点」                                    松岡  浩
指定討論                                             浅沼 守男
指定討論                                             斎藤  実
質疑・討論

Ⅲ 必要とされるマンパワー

司会:工藤義雄・古屋龍太

ⅰ 「経済学の立場から」                                   西村 周三
ⅱ 「精神医療のマンパワー」                                広瀬  省
ⅲ 「公立病院の立場から」                                 道下 忠蔵
ⅳ 「民間病院の立場から」                                 牧   武
ⅴ 「看護の立場から」                                    前田かよ子
ⅵ 「社会復帰施設の運用経費」                              寺田 一郎
ⅶ 「日米の比較から」                                    長谷川美紀子
指定討論                                            卜部 圭司
質疑・討論

《世界精神保健連盟1993年世界会議のアピール》
司会:柏木 昭
「1993年世界会議に向けて」                                 島薗 安雄
「世界ユーザー会議の報告」                                 小金沢正治

Ⅳ 望まれる精神保健システム

司会:高橋 一・樋田精一

ⅰ 「望まれる「地域精神保健システムの構築」を保健・医療・福祉制度改革全体の枠組みの中で考える」                                               朝日 俊
ⅱ 「精神医療におけるセクトリゼーション」                        浅井 邦彦
ⅲ 「川崎市の経験から」                                   西沢 利朗
ⅳ 「総合病院精神医学会の立場から」                           守屋 裕
ⅴ 「精神科診療所の立場から」                               穂積  登
ⅵ 「地域精神保健システムについて」                           吉川 武彦
ⅶ 「「処遇困難者」問題について」                              金杉 和夫
【抄録誌上討論・資料提供】
① 「大都市特例について」                                  浅野 弘毅
② 「精神保健システムと社会復帰施設」                          新保 祐元
③ 「精神障害者を主対象とする共同作業所の実態と課題」              藤井 克徳
指定討論                                              笠原  嘉
指定討論                                              中山宏太郎
質疑・討論

Ⅴ 総括討論